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獣医師で年収1億は可能?現実的な年収と収入を上げる方法を解説

獣医師で年収1億は可能?現実的な年収と収入を上げる方法を解説

「獣医師で年収1億ってあり得るの?」
「現実的な高年収の額はどのくらい?」

このような疑問をもつ方もいるのではないでしょうか?

結論からいうと、獣医師で年収1億を目指すのは難しいです。現実的な高年収の目安は1,000万円ほどです。ただし、職種や働き方によっては、それ以上の年収を得られる可能性もあります。

本記事では、獣医師で年収1億を目指すのが難しいワケや年収が上がらない理由を解説します。年収アップの方法も解説しているので、今より収入を上げたい方は参考にしてみてください。

獣医師で年収1億は難しい

獣医師として年収1億を稼ぐのは、非常に難しいといえます。厚生労働省の調査によると、獣医師の平均年収は約686万円であり、1億円との差を考えると現実的ではありません。

また、個人で動物病院を開業した場合、収入となるのは売上の約1/4です。残りの約3/4は、人件費や医療環境の維持費、光熱費などに費やされます。

1病院あたりの動物病院の平均売上は、3,000万円といわれています。3,000万円のうち約1/4が収入であれば、年収は約750万円になる計算です。この結果からも、獣医師で年収1億円に到達するのは難しいといえるでしょう。

獣医師の年収が上がらない3つの理由

獣医師の年収が上がらない3つの理由

獣医師の年収が大幅に上がらないのには、理由があります。

主な理由は以下の3つです。

・対人間の医師よりも給与が低く設定されているから
・動物病院が飽和状態にあるから
・ペットを飼う家庭が減ってきているから

順番に見ていきましょう。

対人間の医師よりも給与が低く設定されているから

獣医師の年収は、人間の治療をおこなう医師や歯科医師と比べて低く設定されています。

職種 平均年収
医師 約1,436万円
歯科医師 約924万円
獣医師 約686万円

参考:厚生労働省| 令和5年賃金構造基本統計調査より算出

このような給与構造になっている原因のひとつは、動物病院は人間を対象とする病院よりも、収益を上げるのが難しいためです。

人間の医療は公的保険制度に支えられており、治療費の患者負担が軽減されています。一方で、動物医療には公的保険制度がないため、治療費は原則として飼い主の全額自己負担です。

医療費が高額になれば、治療を断念する飼い主も増えます。自由診療である病院側は治療費を自由に設定できますが、高く設定しすぎると患者が減ってしまうでしょう。よって、動物病院は売上が伸びにくく、並行して獣医師の給与も低くなる傾向にあります。

動物病院が飽和状態にあるから

動物病院の数は年々増加しており、飽和状態になりつつあります。農林水産省のデータによると、動物病院を含む小動物診療施設数は過去5年ほどで600施設ほど増加しています。

年度 全国の小動物診療施設の数 前年比
令和元年 12,116施設
令和2年 12,247施設 +131
令和3年 12,435施設 +188
令和4年 12,616施設 +181
令和5年 12,706施設 +90

施設数が増えれば、患者が他の施設に分散し、売上が伸びにくくなります。結果として、動物病院全体の収益が圧迫され、獣医師の年収も上がらないでしょう。

以下の記事では、獣医師の年収が低い理由について詳しく解説しています。詳細が気になる方は、あわせてご覧ください。

獣医師の年収が低い理由!初任給から地域や経験年数による違いを解説

ペットを飼う家庭が減ってきているから

過去10年の間で、ペットを飼う家庭が年々減少してきています。以下は、経済産業省が公表している犬の登録頭数の推移を示した表です。

出典:経済産業省|ペットブームは頭打ち?

ペットの数が減ると、治療を必要とする動物も減ります。その結果、動物病院の売上が伸びず、獣医師の収入も上がりにくくなります。

獣医師が年収を上げる4つの方法

獣医師が年収を上げる4つの方法

年収1億を目指すのは難しいですが、可能な範囲で獣医師の年収を上げる方法はあります。

ここでは、現実的に取り組める方法を4つ紹介します。

・獣医師としての経験を積む
・勤務医から開業医になる
・今よりも年収が高い職場に転職する
・今よりも年収が高い職種に転職する

自身の年収アップを目指す際に、役立ててみてください。

獣医師としての経験を積む

獣医師の収入は経験に応じて上がっていくのが一般的です。

以下は、経験年数ごとの獣医師の平均年収を示した表です。

経験年数 平均年収
0年 約378万円
1〜4年 約443万円
5〜9年 約574万円
10〜14年 約609万円
15年以上 約798万円

参考:厚生労働省| 令和5年賃金構造基本統計調査より算出

経験年数0年の新人獣医師と、経験年数15年以上のベテラン獣医師の年収の差は、420万です。経験が浅い獣医師は、経験を積んで専門性を高めると年収アップにつながるでしょう。

勤務医から開業医になる

勤務医から開業医になると、年収の大幅なアップが期待できます。経営が軌道に乗れば開業医の年収は800万〜1,200万円になる可能性もありといわれており、勤務医よりも年収が高い傾向にあるためです。

経営が波に乗れば、1,200万以上の年収を得られる可能性もあります。

開業医を目指すなら、都市部ではなく地方での開業も視野に入れましょう。地方は、動物病院数が限られているため、患者が集まりやすいです。高額な手術や専門的な治療を依頼する患者が集中するため、病院の売上が伸びやすく、年収アップも期待できます。

ただし、開業医になるのにはリスクも多く、事業が成功する確証はありません。開業時は初期費用も多くかかるため、最悪の場合、資金がショートして倒産する可能性もあります。

開業医を目指す場合は、リスクを考慮して慎重に準備を進めていく必要があります。

今よりも年収が高い職場に転職する

今の職場よりも給与がよい職場に転職して、年収を上げる選択肢もあります。

年収は、職場ごとで異なります。基本給や手当の種類が職場ごとで異なるためです。

また、地域によっても平均年収に差があります。以下は、いくつかの都府県をピックアップして、獣医師の平均年収をまとめた表です。

都府県名 平均年収
山形 約491.7万円
東京 約565.8万円
千葉 約599.3万円
大阪 約743.3万円
福岡 約354.1万円
沖縄 約643.6万円

出典:厚生労働省|職業情報提供サイトjobtag

比較してみると、地域によって平均年収に大きな開きがあるとわかります。つまり、働く地域や職場を変更すれば、平均年収を上げられる可能性があります。

今よりも年収が高い職種に転職する

年収が高い職種に転職する選択肢もあります。ここでは、平均年収が高い傾向にある2つの職種を紹介します。

競走馬獣医師(JRA)

1つ目は、競走馬の健康管理や治療をおこなう競走馬獣医師です。日本中央競馬会(JRA)に所属する獣医師がこれに該当します。

競走馬獣医師は、競走馬がレースやトレーニング中に発生した怪我の手当をおこないます。また、競走馬が最高のコンディションでレースに臨めるように、日常的なケアをするのも競走馬獣医師の大事な役割です。

日本中央競馬会の報告では、競走馬獣医師の平均年収は1,079万とされています。競走馬獣医師の求人倍率は高く、狭き門ですが、興味がある方はチャレンジしてみるとよいでしょう。

以下の記事では、競走馬獣医師(JRA)の平均収入や仕事内容について解説しています。詳細が気になる方は、参考にしてみてください。

競走馬獣医師の平均収入について仕事内容と共に解説

製薬会社に勤める獣医師

2つ目は、製薬会社に勤める獣医師です。獣医学に関する専門知識と経験を活かして、動物に使用する医薬品の研究開発をおこないます。

具体的な仕事内容は以下のとおりです。

・臨床試験
・新薬の開発
・製品安全性評価
・実験動物の管理やケア

新卒の年収は400万円から500万円ほどです。現場で5〜10年経験を積むと、およそ600万円から800万円になるといわれています。管理職になると1,000万円を超えるケースもあるようです。製薬会社での勤務は、安定した収入が期待できるでしょう。

以下の記事では、製薬会社で働く獣医師の年収や仕事内容について解説しています。獣医学と製薬業界の関係性を詳しく知りたい方は、あわせてご覧ください。

製薬会社で働く獣医師の仕事内容と管理獣医師について


獣医師の年収に関するよくある質問

獣医師の年収に関するよくある質問

最後に獣医師の年収に関するよくある質問と回答をまとめます。

認定医になると年収は上がりますか?

認定医とは、特定の分野で高度な知識と技術をもっていると学会が認めた獣医師のことです。

認定医には学会が実施する研修を受け、その後の試験に合格すると認定されます。取得できる認定資格は、主催する学会ごとに異なります。

以下は、代表的な認定医の種類です。

・獣医総合臨床医
・獣医内科認定医
・獣医外科認定医
・獣医腫瘍科認定医

認定医になれば、専門性の高い治療をおこなったり、専門分野に特化した病院を開業できたりします。専門性の強みを活かして成功すれば、年収アップが期待できるでしょう。

「獣医師になるのはやめとけ」と言われる理由はなんですか?

「獣医師になるのはやめとけ」と言われる理由の一つに、期待よりも給与が低いと感じる方の存在があげられます。

とくに動物病院で勤務する獣医師は、急患対応が必要なため長時間労働になりがちです。多忙な環境から労働の負荷と給料給与が見合わないと感じる獣医師も少なくありません。

とはいえ、獣医師としてやりがいをもって働く方もいます。周囲の声に振り回されず、自分の意思でキャリアを考えていく姿勢が大切です。

以下の記事では、獣医師になるのはやめとけと言われる理由について解説しています。詳細をチェックしたい方は、あわせてご覧ください。

獣医師になるのはやめとけと言われる理由5つの理由|やめたくなったときの対処法も紹介

獣医師は給与が低くて食えない職種なんですか?

獣医師の給与は、食えないほど低くはありません。むしろ、以下のように獣医師の平均年収は全職種の平均年収を上回っています。

職種 平均年収
全職種 約458万円
獣医師 約686万円

出典:国税庁|令和4年分民間給与実態統計調査(全職種)
出典:厚生労働省| 令和5年賃金構造基本統計調査より算出

しかし先述のとおり、獣医師の給与は人間を相手にする医師や歯科医よりも平均年収が低いです。個人の期待値によっては、給与の水準に納得ができず「食えない」と表現する方がいるようです。

以下の記事では、獣医師が食えないと言われる理由について詳しく解説しています。詳細が気になる方は、参考にしてみてください。

獣医が食えないと言われる理由は?初任給や年収の上げ方をご紹介

獣医師で年収1億は難しいが年収1,000万円は夢ではない

獣医師で年収1億円に到達するのは、現実的に難しいです。しかし、動物病院を開業したり、年収の高い職場や職種に転職したりすれば年収1,000万円に手が届く可能性もあります。

本記事で紹介した、年収アップの方法を参考に、理想とする年収の実現を目指してみてください。

<年収アップの方法>

・獣医師としての経験を積む
・勤務医から開業医になる
・今よりも年収が高い職場に転職する
・今よりも年収が高い職種に転職する

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