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獣医師の仕事内容とは?動物病院や公務員、製薬会社などの獣医師の仕事をわかりやすく紹介

獣医師の仕事内容とは?動物病院や公務員、製薬会社などの獣医師の仕事をわかりやすく紹介

獣医師の仕事内容は単に動物を診察するだけと思われがちですが、多くの人が想像する以上に多岐にわたります。動物の診察や治療はもちろん、予防医療の実施や公衆衛生への貢献、さらには獣医学研究の推進など本当にさまざまです。獣医師は動物の健康を守るだけでなく、動物をとおして人間の健康にも大きな影響を与えています。

この記事では、獣医師の仕事内容についてくわしく解説します。獣医師を目指している人は、ぜひ最後までご覧ください。

獣医師のおもな仕事内容6選

獣医師のおもな仕事内容6選

獣医師の仕事は多岐にわたりますが、代表的なのは以下の6つです。

・動物病院での診察・治療
・産業動物の管理
・公務員獣医師として公衆衛生の向上
・製薬会社で実験動物の管理・研究
・動物園や水族館での動物管理・治療

・野生動物の保護・研究

それぞれの仕事内容について紹介します。

動物病院での診察・治療

獣医師のおもな仕事のひとつは、動物病院での診察・治療です。ペットを丁寧に診察し、飼い主から情報を聞き出しながら治療を進めていきます。ペットは症状を言葉で伝えられないため、飼い主と密にコミュニケーションをとって治療法を見つけることが重要です。

また獣医師は、飼い主にペットの健康を保つためのアドバイスもします。適切な飼育方法やしつけに関する相談・指導などを行い、ペットと飼い主の関係をサポートしているのです。

農林水産省の統計によると、令和4年度の時点で約40%の獣医師が犬・猫などのペットの診療にに従事しており、ペット医療の重要性と需要の高さがうかがえます。

出典:https://www.maff.go.jp/j/council/zyuizi/keikaku/keikaku_5_1/attach/pdf/240304-11.pdf

動物病院に勤める獣医師の1日はこちらで紹介しています。

獣医師の仕事は大変?獣医師の1日と仕事のやりがいや苦労についてもあわせて紹介

産業動物の管理

牛、豚、鶏などの産業動物や競走馬を診察・管理するのも獣医師の仕事です。この分野で活躍する獣医師は「産業動物臨床獣医師」もしくは「産業動物獣医師」と呼ばれ、おもに家畜保健衛生所や畜産試験場で働いています。

産業動物の病気予防や衛生管理をはじめ、ワクチン接種や環境改善などの伝染病対策も、産業動物獣医師の重要な仕事です。また、畜産業のさらなる発展を目指し、人工授精や受精卵移植技術を駆使した品種改良・繁殖にも取り組んでいます。

動物用医薬品の安全性確保も産業動物獣医師の仕事です。検定試験の実施や、医薬品の製造、流通、使用の監視を行い、動物と人間の健康を守ります。

農林水産省の統計によると、令和4年度の時点で約20%の獣医師(公務員を含む)が産業動物に関わる業務に従事しています。産業動物獣医師の仕事は、食の安全を守り、畜産業の発展につながる非常に重要なものです。

出典:https://www.maff.go.jp/j/council/zyuizi/keikaku/keikaku_5_1/attach/pdf/240304-11.pdf

公務員獣医師として公衆衛生の向上

公務員として公衆衛生の向上を目指すのも獣医師の仕事のひとつです。おもな職場は食肉衛生検査所や動物検疫所で、人と動物の健康を守るために日々尽力しています。

食肉衛生検査所では、肉や牛乳、魚介類などの食品の安全性をチェックし、必要に応じて監視や指導も行います。さらに、と畜検査や食鳥検査も、食肉の安全性を保証する上で欠かせない業務です。

動物検疫所では、海外からの伝染病を防ぐための検疫業務を行っています。狂犬病などの人獣共通感染症や、家畜に被害を及ぼす伝染病を防ぐために、空港や港で検査しています。さらに、動物福祉の推進も業務のひとつです。

農林水産省の統計によると、令和4年度の時点で約13%の獣医師が公衆衛生分野の仕事に従事しています。公務員獣医師として働く獣医師は、人々の健康と安全な生活を多方面から支えているのです。

出典:https://www.maff.go.jp/j/council/zyuizi/keikaku/keikaku_5_1/attach/pdf/240304-11.pdf

公務員獣医師についてはこちらで紹介しています。

公務員の獣医師とは?その仕事内容となり方を解説

製薬会社で実験動物の管理・研究

獣医師は、実験動物の管理・研究も行います。製薬会社や薬効薬理試験の受託研究機関がおもな職場です。

日常的な仕事としては、実験動物の健康管理や飼育があります。新薬開発の過程では、開発中の薬物を動物に投与し、その効果を観察します。同時に、実験過程において動物に不必要な苦痛を与えないよう、痛みの管理や適切な治療を行うことも獣医師の仕事です。動物の状態によっては、安楽死させることもあり得ます。

製薬会社で獣医師として働くには、獣医学の知識だけでなく、薬理学や動物行動学、動物福祉法など、幅広い知識が要求されます。また、医学や生命科学の分野は日々発展しているため、継続的な学習と最新の研究成果の勉強も欠かせません。実験動物に日々向き合いながら、医学の発展に大きく貢献する仕事です。

製薬会社で働く獣医師はこちらでも紹介しています。

製薬会社で働く獣医師の仕事内容と管理獣医師について

動物園や水族館での動物管理・治療

動物園や水族館で働く獣医師もいます。動物の管理・健康がおもな仕事で、日々施設内を回りながら動物たちを注意深く観察し、必要に応じて診療を行います。また、病気・ケガの予防も重要な仕事のひとつです。定期的な健康診断、ワクチン接種、薬の投与などを行います。

多くの動物は外敵に狙われないように不調を隠すため、症状が現れたときにはすでに深刻な状態になっていることが少なくありません。そのため、不調の早期発見と予防がなにより大切なのです。とくに大型動物や猛獣の治療には危険が伴うため、病気やケガを未然に防ぐことは非常に重要です。

さらに、動物の繁殖や飼育も獣医師の仕事に含まれます。中でも絶滅危惧種を含む希少動物の管理・研究・繁殖は、種の保存という観点からも重要です。

野生動物の保護・研究

野生動物の保護や生態系の監視も、獣医師の仕事です。この分野に従事する獣医師は少ないものの、その社会的意義は非常に大きいです。

たとえば、農業被害を引き起こす有害鳥獣対策では、動物の生態や行動パターンを把握した上で適切な対策を実施します。同様に、生態系を乱す恐れのある特定外来生物の対応も行います。

野生動物の保護活動においても、獣医師は欠かせない存在です。負傷した野生動物の診療をし、必要に応じて人工繁殖を行います。さらに自然災害や事故が発生した際には迅速に野生動物の救護活動を行い、生態系への影響を最小限に抑えます。絶滅危惧種の保護も重要な仕事のひとつです。

獣医師になるための4つのステップ

獣医師になるための4つのステップ

獣医師になるためには、以下のステップを踏む必要があります。

1.大学の獣医学科を卒業する
2.獣医師国家試験に合格する
3.獣医師免許を取得する
4.研修・試験を受ける

獣医師としてどの分野で活躍したいかによって、求められるものが異なります。理想の獣医師になるためにも、必要な手順や資格をしっかりと理解しましょう。

獣医師になるために必要な知識や学歴などはこちらでも紹介しています。

獣医師になるには何が必要?大学や獣医師国家試験について解説

1.大学の獣医学科を卒業する

獣医師になるためには、まず大学の獣医学科を卒業することが必要です。大学で基礎化学や生物学、解剖学、病理学、微生物学といった幅広い分野を学び、動物の診療に必要な医学的な知識と技術を身につけます。

日本には獣医学科を設置している大学が17校あります。

種類 大学名 都道府県
国立大学 北海道大学 北海道
帯広畜産大学 北海道
岩手大学 岩手県
東京大学 東京都
東京農工大学 東京都
岐阜大学 岐阜県
鳥取大学 鳥取県
山口大学 山口県
宮崎大学 宮崎県
鹿児島大学 鹿児島県
公立大学 大阪公立大学 大阪府
私立大学 酪農学園大学 北海道
北里大学 青森県
日本獣医生命科学大学 東京都
日本大学 神奈川県
麻布大学 神奈川県
岡山理科大学 愛媛県

上記の大学で獣医学を学び、獣医師としての一歩を踏み出しましょう。

獣医学部がある国公立大学についてはこちらでも紹介しています。

獣医学部がある国公立大学はどこ?偏差値ランキングや大学の選び方をご紹介

2.獣医師国家試験に合格する

獣医学科を卒業したら、次は農林水産省が実施する獣医師国家試験に合格する必要があります。この試験では、獣医学の専門知識や技術はもちろん、動物に対する深い愛情や理解、生命を尊重する精神といった人間性も求められます。試験の実施は毎年2月です。

獣医師国家試験を受験するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。おもな受験資格は以下の通りです。

・大学の獣医学の正規課程(6年生)を修めて卒業した者
・外国の獣医学校を卒業、または外国で獣医師の免許を得た者
・獣医師国家試験予備試験に合格した者

その他にも、過去大学で獣医学を学んでいた人や、獣医師としての経験がある人も試験を受けられる場合があります。試験には受験回数や年齢の制限がないため、何度でも挑戦可能です。

出典:https://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/zyui/shiken/attach/pdf/shiken-31.pdf

出題内容は、「獣医療の基本的事項」「獣医学の基本的事項」「衛生学に関する事項」「獣医学の臨床的事項」です。過去5年間の合格率は69.9〜86.5%で、多くの受験者が努力を重ねて合格を目指します。

出典:https://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/zyui/shiken/pdf/kijyun_20140904.pdf
出典:https://www.maff.go.jp/j/press/syouan/tikusui/attach/pdf/240313-5.pdf

3.獣医師の資格「獣医師免許」を取得する

獣医師国家試験に合格した後は、獣医師としての資格である獣医師免許を取得するための手続きをします。必要書類を集めて、農林水産省に免許の交付申請を行いましょう。この手続きを完了し、獣医師名簿に登録されると正式に獣医師として認められます。

獣医師免許を取得した後も定期的な手続きが必要です。獣医師法第22条にもとづき、2年ごとに農林水産省への届け出が義務づけられています。この届け出を忘れると、免許の取り消しや業務停止を命じられるおそれがあるため忘れずに対応しましょう。

出典:https://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/zyui/menkyo.html#a
出典:https://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/zyui/22.html

4.研修・試験を受ける

獣医師は免許を取得しても、すぐにひとり立ちできるわけではありません。勤め先に応じて、臨床経験を積んだり試験に合格したりする必要があります。ここでは、以下の3つの職業に就くためにクリアすべきステップをそれぞれ紹介します。

・小動物関係
・産業動物関係
・国家・地方公務員

自分の目指す道に応じて、必要なステップをしっかり踏みましょう。

4-1.小動物関係:動物病院で臨床研修を受ける

獣医師として小動物診療に携わるには、大学卒業後に臨床研修が必要です。一般の動物病院に研修医として勤務するか、獣医系大学の付属動物病院で研修を受けるケースが多いです。

研修期間中は、先輩獣医師の指導のもと、実際の診療現場で動物に接しながら診療の技術を磨きます。さらに、飼い主とのコミュニケーション能力や緊急時の冷静な対応力など、獣医師として必要なスキルも身につけます。

臨床研修は、新人獣医師が理論と実践を結びつけ、実力のある獣医師へと成長するための重要なステップです。研修を通して豊富な経験を積むことで、立派な獣医師として活躍できるでしょう。

4-2.産業動物関係:農業共済団体で研修を受ける

牛、馬、豚、家禽などを扱う産業動物獣医師を目指す場合、農業共済団体の家畜診療所で研修を受けるのが一般的です。

研修期間中は、先輩獣医師とともに実際の現場で勤務しながら経験を積むことがほとんどです。個々の動物の治療にとどまらず、群単位での健康管理や生産性の向上といった、より広い視点を学んでいきます。また、農場管理や疾病予防、畜産経営に関する知識も身につけ、実践的なスキルも習得します。

研修を通じて専門性を高めることで、畜産業界全体を支える産業動物獣医師としてひとり立ちできるのです。

4-3.国家・地方公務員:公務員試験に合格する

公務員獣医師を目指す場合、獣医師国家試験に合格するだけでなく、公務員試験にも合格する必要があります。公務員獣医師には国家公務員と地方公務員の2種類があり、それぞれ異なる採用試験が実施されます。

国家公務員を希望する場合は、国家公務員採用試験に合格しなければなりません。この試験に合格し国家公務員として農林水産省や厚生労働省などに勤務すると、動物の健康管理や疫病の予防、食品安全の確保などに従事することになります。

地方公務員を目指す場合は、各地方自治体が個別に実施する地方公務員採用試験に合格する必要があります。合格後のおもな勤務先は、市区町村の保健所や保健センター、食肉衛生検査所、家畜保健衛生所、動物愛護施設などです。地域の公衆衛生や動物福祉の向上などさまざまな業務に従事します。

獣医師の仕事のやりがい4つ

獣医師の仕事のやりがい4つ

獣医師の仕事には多くのやりがいがありますが、その中でもとくに大きなものを4つ紹介します。

・動物の命を救える
・さまざまな動物とふれあえる
・公衆衛生など社会貢献ができる
・獣医師にしかできないことができる

やりがいを知ることで、獣医師という職業の魅力をより深く理解できるでしょう。

こちらの記事では、現役獣医師へのインタビューを通して、獣医師という職業のやりがいについて紹介しています。

現役の獣医師が仕事のやりがいについて本音で語ります

動物の命を救える

獣医師のやりがいのひとつが、病気や怪我で苦しむ動物たちを救えることです。生死の境にいる動物を自分の力で救い、元気になった姿を見ることは、大きな喜びをもたらします。愛するペットを救われた飼い主が見せる安堵と感謝の表情も、やりがいにつながります。

獣医師の仕事は、命の危機に瀕した動物を救い、動物と人間どちらにも幸せをもたらすものといえるでしょう。

さまざまな動物とふれあえる

獣医師になると、業務中に多種多様な動物と出会います。犬や猫だけでなく、エキゾチックアニマルと呼ばれる爬虫類や鳥類、野生動物、家畜に至るまで、出会える動物はさまざまです。業務を通じてさまざまな動物たちと心を通わせられるのは、動物を愛する獣医師にとって大きな喜びになります。

日々異なる動物たちと接し、その生態や特性を学びながら動物の幸せをサポートできるのは、獣医師ならではのやりがいといえます。

社会貢献ができる

獣医師は、動物の健康を守るだけでなく社会全体に対して大きく貢献できる職業です。動物を通して人々の健康を守れることは、獣医師にとってのやりがいのひとつといえるでしょう。

さらに獣医師は、野生動物の保護や生態系の維持の現場でも活躍します。獣医学で身につけた知識を活かして、地球規模の課題に取り組めるのは大きな魅力です。

獣医師として働くことで、動物の命を救うだけでなく、より大きな視点で世界に貢献できることに大きなやりがいを感じる人は少なくありません。

獣医師にしかできないことができる

獣医師にしかできないことができる点も、獣医師の魅力のひとつです。

動物の治療や手術は、まさに獣医師にしかできない重要な仕事です。専門的な診断・治療・手術はもちろん、言葉を持たない動物の症状を正確に読み取り、適切な治療を施します。さらに、動物の健康管理や繁殖に関する専門的なアドバイスも、獣医師ならではの仕事です。

獣医学の専門知識と動物への深い理解、そして経験にもとづく独自のスキルと知識を活かせることは、獣医師という職業の醍醐味といえるでしょう。

獣医師の仕事で大変なこと

獣医師の仕事には大きなやりがいがある一方で、さまざまな困難もあります。

まず、動物は自分の症状を言葉で伝えられないため、限られた情報から正確な診断を行う必要があり、高度なスキルが求められます。また、犬や猫だけでなく鳥類や爬虫類などさまざまな動物に対応するため、幅広い知識も欠かせません。

さらに、獣医師は動物の死に直面する機会も多く、ときには安楽死を選択しなければならないこともあります。動物を愛する獣医師にとっては大きなストレスになりますし、燃え尽き症候群になるリスクもあります。緊急時の対応や不規則な勤務体制、常に最新の医療知識を学び続ける必要があることも負担の一因です。

獣医師の仕事には大変なこともありますが、それを乗りこえることで得られるやりがいは他の職業にはないものです。困難を乗りこえた先にある獣医師ならではの喜びが、獣医師という仕事をさらに魅力的なものにしていくことでしょう。

獣医師の大変なことについては、こちらでも紹介しています。

獣医師の大変なこととは?厳しさと辛さだけではない充実感を得る瞬間についても解説

獣医師の仕事内容を知って希望の職業に就こう

獣医師は、動物や社会を守れるやりがいのある職業です。動物の命を救い、多様な動物たちと触れ合う機会があるだけでなく、公衆衛生に貢献したり、製薬会社で研究を行ったりと、その仕事内容は多岐にわたります。

獣医師を目指す人には、医療や生物学に対する深い知識と、動物への深い愛情が求められます。大変なこともありますが、その分だけ得られる満足感や達成感も大きいです。獣医師にしかできない専門的な仕事を通じて、動物と人間の架け橋となり、社会に貢献しましょう。

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