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獣医師の離職率は高い!?高い理由と転職に失敗しないコツを解説

獣医師の離職率は高い!?高い理由と転職に失敗しないコツを解説

望んで仕事に就くために獣医学部へ進学したり、国家資格も取得しなければならない獣医師ですが、就職できたとしても辞めてしまう場合もあるのが現状です。

今回は獣医師の離職率についての情報、現状はどのくらいなのか、離職しないためにできることについて解説します。最新の国の対策も解説しますので、獣医師になってから後悔したくない人はぜひ参考にしてください。

獣医師の離職率と概要

まずは獣医師の離職率について、数値及び内訳を見ていきましょう。獣医師は大分類としては大動物獣医師と小動物獣医師に分かれます。そこからさらに、勤め先によって細分化されます。

対象とする動物や働き方に違いがあるため、獣医師の離職について知るなら「獣医師全体」の話と「臨床分野ごとの傾向」両方を分析しておくとイメージしやすくなるでしょう。

また、男性と女性の比率も知ることで、高くなる理由が見えてくると思います。

小動物獣医師の1年目での退職・転職は60%以上?

小動物獣医師の退職率が通常の仕事より高いと言えるのは、新卒1年目での高い離職率にあります。厚生労働省が令和5年に発表した新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)では、新卒3年目以内で離職したのは高卒で37.0%、大卒で32.3%の結果です。

獣医師の離職率については具体的なデータはないものの、小動物獣医師についての新卒1年目の離職率が大体50~60%という高い水準であるといった情報も見受けられました。これは新卒3年以内離職率の倍近い高い数値となります。

離職率が特に高いのは20~30代の女性

年数の次は離職率を獣医師全体で比較してみましょう。年齢に分けてみていくと、離職率が高くなっているのが30代、特に女性が多いことが分かります。

獣医師のみの離職率については数値が公表されているわけではありませんが、年齢別の男女比の推移について、農林水産省が作成した「獣医師をめぐる情勢」では、年齢別の男女比が記載されており、20代では5割近くいる女性獣医師が50代では3割程度まで減少することが記載されていました。
参考:https://www.maff.go.jp/j/council/zyuizi/keikaku/keikaku_5_1/attach/pdf/240304-11.pdf

資料のなかでは、女性獣医師の職場復帰や採用について支援することを示しています。

大動物臨床獣医師の離職は3年で3割、5年で5割

小動物臨床獣医師に比べ、大動物臨床獣医師は1年目で仕事を退職する人は多くないようですが、大体3年で3割、5年で5割の獣医師が離職すると言われているようです。確かに、労働者数の推移を見ていると令和5年賃金構造基本統計調査では、20代から30代にかけて急激に獣医師の労働者数が減少していることが伺えますので、データからみても信憑性は高いかと思います。

獣医師の離職率が高い理由

獣医師の離職率が高い理由

獣医師は資格がなければできない仕事です。自ら望んで勉強して資格を取得してようやく働ける職業であるにも関わらずなぜ離職率が高いのでしょうか。

ここからは、考えられる要因についていくつか説明していきます。

他医療職よりも給料が安い

獣医師は、医者と同じく医療を提供する仕事です。しかし、給料面で比較すると令和5年賃金構造基本統計調査では医師が1,200万円近くの年収があるのに対し、獣医師の年収は約580万円と大きな開きがあります。

長時間労働や不安定な就業時間など過酷な労働環境にも関わらず、極端に高い給与をもらえるわけでもないので給料面に満足できない人は多い傾向です。

危険なことが多い

獣医師は給料が低いうえに、言語が通じない対象を相手に治療行為を行わなければなりません。小動物獣医師が主に担当する犬や猫でも、噛みついたり引っ掻いたりすることはあります。

さらに大型の牛や馬を対象とする大動物獣医師になると、治療行為を拒否された時には足で蹴られたり暴れる可能性もあり、おとなしく治療を受けてもらうのは簡単な作業ではありません。

人間関係

獣医師は仕事によって相手は変わるものの、さまざまな人と関わらなければできない職業です。

小動物獣医師なら飼い主の対応や、病院内での上司との関係に悩むこともあるでしょう。病院内やクリニック内の人間関係は閉鎖的になりやすく、なかなか相談出来る相手もいないと逃げ場を失ってしまう可能性もあります。

また、必要な医療とコストが見合わないと飼い主が納得せずに、本来やりたい行為とのギャップに悩むこともあります。

動物を救いたくて獣医師になったのに救う行為ができなければやりがいを見失ってしまうかもしれません。

残業時間が長く、休暇が取れない

獣医師の働く環境は、人手不足である傾向です。農林水産省が作成した獣医師の需給見通しについてでは、獣医師1人あたりの診療可能頭数が1施設あたりの診療受け持ち頭数よりも少ないことが公表されています。

つまり、1人あたりのキャパシティを常にオーバーしているのです。激務がきっかけで退職者が出ても、専門職である獣医師の人数補填はすぐにはできません。

獣医師の職場は少人数なことが多く、残業も慢性化しやすい職場環境です。人数が少ない分、なかなか休暇がとりづらいといったこともあるようです。特に長時間労働と休暇取得のしにくさは、ライフスタイルが変わりやすい女性獣医師の退職理由につながっています。

獣医師の離職に対する国の対策

獣医師の離職率が上がっていることに、国も政策を考えていないわけではありません。特に人手不足が著しい大動物獣医師の育成・確保については以下の施策を実施しています。

・大動物獣医師(産業動物獣医師)希望の学生への修学資金の貸与
・臨床実習の実施
・新しい獣医師を対象にした必要知識の臨床研修の実施
・女性大学生を対象とした女性獣医師のセミナー、職場復帰支援
出典:農林水産省「獣医療提供体制整備推進総合対策事業

また、獣医師の低賃金への対策としては、全般的に初任者調整手当が取り入れられています。初任給調整手当は、勤務開始時の金額を増額する手当です。特に人手不足が顕著な地方の大動物獣医師、公務員獣医師の募集要項などに追加されています。

支給金額に決まりはなく、令和6年4月時点で月7万円増額、総支給額約1,027万円となる自治体(https://www.pref.miyazaki.lg.jp/shinsei-kachikuboeki/shigoto/chikusangyo/20240227113203.html)も存在するほどです。これから獣医師になりたい人には耳よりな情報と言えるでしょう。

獣医師が転職に失敗しないためのポイント

獣医師が転職に失敗しないためのポイント

離職率が高い原因のひとつに、最初の着任もしくは転職時のミスマッチも考えられます。長く続けられる職場を探すためには、条件を厳選して選ぶようにしましょう。

離職率が高い職場に共通する事項を避けるためのポイントについてまとめましたので、これからの転職先選びや職場探しの参考にしてください。

年齢層が幅広い職場を選ぶ

新人獣医師が定着していない職場の特徴として、職場の従業員の年齢層に偏りが起きやすいです。受け入れ態勢や研修制度がしっかりとしている職場であれば、20代や30代前半の先輩獣医師が在籍しているでしょう。

在籍していない場合、着任しても即退職している可能性が高いです。原因は一概にはいえませんが、何かしらのトラブルがあるのかもしれません。

年齢層を確かめるには、職場見学をなるべく事前に行い、働いている人のおおよその年齢を確認しておくと安心です。

産休・育休制度がある職場を選ぶ

女性の社会進出が進んでいる昨今、産休・育休制度完備の職場は珍しくはありません。女性の場合、ライフステージとして出産や育児を検討する可能性があるならば、長く働ける職場の必須条件と言えます。

「育児は性別を分けずにするものである」という考えも広がり、男性の育児制度も見直しがされている傾向です。人数が確保されている職場なら、男性でも育児休暇取得をしているところもあります。

求人票で産休・育休の取得実績が記載している職場は、出産後の復帰がしやすい環境が整っている可能性も高いでしょう。

転職前に辞めたい理由を整理する

仕事を辞める前になぜ転職したいと思ったかを整理しておくと、同じ失敗をしにくくなります。理由を整理することで、転職先に求める優先順位が見えるからです。

転職してから後悔する例として、同じ状況を繰り返してしまうことや、求める条件と実は一致していないのに気付かずに転職することが挙げられます。

転職を成功できたと思えるかは自分次第です。年収アップを求めて転職して年収アップできたとしても、本当に求めていたのはワークライフバランスだったとなると転職に成功したと思えないかもしれません。

自信を持って転職するためにも、できれば紙に書き出して整理してみましょう。

辞める前に今の職場で改善できないかを考える

仕事を辞めたとしても、転職理由の原因が改善できる保障はありません。よくある失敗例として転職したい理由がよくある状況に該当し、次の職場でも同じ事態に遭遇することがあります。

もちろん何をしても動かない時もありますが、一度は自分から何か改善できることはないかを検討してみましょう。

例えば同僚との関係性に悩んでいる場合、当人同士では会話が難しかったとしても第三者がいると変わるかもしれません。上司へ相談をして話し合いの場を設けてもらうことで改善できることもあります。

実際に動いてみて改善できなかったとしても、息の抜き方や対策方法を考えておくと今の職場では通じなかった場合にも次の職場でも役立ちます。経験が無駄になることはありません。

獣医師1年目はつらくなりやすい期間と覚えておく

多くの獣医師は1年目が1番つらいと考えています。どの職種にも言えることですが、慣れるまでの期間は辛く感じたり、どうしても学生だった頃の気分が抜けない部分もあり、より辛く感じてしまったりします。特に1年目の獣医師がつらい原因の1つ目は、入職して直ぐに繁忙期を迎えることです。

入職した4月は、ワクチン接種や予防接種の関係で利用者が急増します。動物病院では、通常の2倍近くの対応数になることがほとんどです。

繁忙期によくあるのが、学校で習っただけの業務内容を即戦力として対応しなければならなくなることです。教える時間はないうえ、実戦経験はない仕事でもぶっつけ本番でこなさなければならなくなります。

2つ目の原因に体力面の疲労があります。学生時代にほぼ座学で終わっていた学生からすると、長時間労働はかなりきつい状況と言えるでしょう。繁忙期の職場によっては1日8時間以上の勤務もあったり、体力と精神ともにかなりつらい状況と言えるでしょう。

乗り越えるためには繁忙期の時期を認識しておき、今が異常な忙しさであることを念頭に目的意識を忘れず、マインドを保つように意識しましょう。

情報収集をしっかりと行う

獣医師の転職を失敗しないために最も重要なのは、情報収集を怠らないことです。求人票で確認するべき条件、入職前に確認しておかないといけない職場の情報が多くあります。例えば、求人票では以下のポイントは押さえておきましょう。

求人票で確認しておく情報
・初任給と調整手当を合わせた金額
・平均労働時間、月の残業時間
・特別休暇(有給、育休など)の取得実績
・各種手当、福利厚生
・職場の従業員数

求人情報や入職前の職場の情報を収集をしたい時は、獣医師を専門とした転職エージェントの利用が効果的です。求人票には載っていない情報を知っていることが多く、情報不足によるミスマッチを防げます。

職場と転職希望者の間に入って調整もしてくれるので、はじめての転職活動で不安がある人にも、転職によって給料や待遇を改善したい人にもおすすめです。

まとめ

離職を選ぶ理由は、長時間労働や残業も多い職場環境や職種によって違いはあるものの必ず人と関わる仕事なため、コミュニケーションによるストレスも大きな原因です。

離職しないためには、職場や求人票の事前調査をしっかりと行いましょう。働きながらの転職活動は難しいものですが、この記事を参考に転職エージェントなども活用しながら、失敗しない職場選びに結び付けましょう。

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